高品質なのにコストパフォーマンスな靴として人気のジャラン スリウァヤから、ジュエリービットローファーが発売された。先にジャラン スリウァヤを簡単に説明しておくと、1919年にインドネシアで創業したシューファクトリーで、同国はオランダの植民地であったこともあり当初はミリタリーブーツを手掛けていた。創業者の息子ルディ・スパーマンがイギリスのノーザンプトンで靴作りを、フランスで皮革生産を学んだのが現在のブランドの実力と人気につながっているのだ。また、職人の手によるハンドソーンウェルテッド製法を採用しているため、ソールの返りに優れ、履き心地の良さにもつながっている。

馬具を模した装飾ビットにはクリスタルがあしらわれている。
さて、このジュエリービットローファー98976(店舗限定モデル)は、ローファー専用のラスト「18045」を採用し、アッパーにはフランス製の高級カーフを使用。ビットのバー部分にはプレシオサ社のクリスタルガラスをあしらっている。同社はチェコにあるボヘミアクリスタルを製造する歴史のある会社で、高品質なクリスタルジュエリーを作ることで知られているのだ。歩くたびにキラキラと輝き、上品なアッパー素材と相まってエレガントなローファーに仕上がっている。しかしである。なんとアウトソールにはビブラムソールを採用! クリスタルとラバーソールという相反する組み合わせがユニークではないか。製法はアッパー、中底、ウェルトを手作業で縫いつけるハンドソーンウェルテッド製法を用いている。
余談だが、ビットローファーの歴史にも触れておきたい。オリジンはすでに知られているようにグッチが1953年に発売した「ホースビットローファー」だ。ホースビットの名前がついているように馬具の“くつわ”に由来している。当初は女性のバッグに採用されたデザインだったが、メンズのローファーに採用されたというわけだ。その後、甲にガンチーニ(小さなフックの意味)をあしらったフェラガモのローファーも定番化し、「ビットローファー」は靴のカテゴリーとして不動の地位を築くのである。
このビットローファーがここ数年注目されていて、各ブランドが競って発売している。その中でもこのジャランスリウァヤのジュエリービットローファーは異彩を放っているように思う。価格もリーズナブル、しかも高品質だ。ぜひ履いてほしい一足である。
Jalan Sriwijaya(ジャラン スリウァヤ)
98976M(ジュエリービットコレクション 店舗限定モデル)41,800円(税込)
お問合せ:GMT TEL.03-5453-0033 www.jalansriwijaya.com

文:倉野 路凡