タイ シューメーカー

 
歴史的遺産に囲まれた浅草の地に位置する「タイ シューメーカー(TYE Shoemaker)」は、訪れる靴愛好家が後を絶たない、知る人ぞ知るビスポークシューズのアトリエです。フェイスブックに新作を掲載すれば、海外からも問い合わせがくるという、今、世界も注目するビスポークシューメーカーです。

 

同工房を主宰する大野毅さんは1975年愛知県生まれ。約7年勤務した紳士服店を退社した後、手縫い靴ブームの火つけ役も担ったシュークリエイター、山口千尋さんの工房「ギルド・オブ・クラフツ」が主催する靴学校に入塾しました。2年の就学の後、同工房に就職して木型の製作などに勤しみ、2009年に独立。翌々年、同校の同級生だった島村洋平さんとタイ シューメーカーを開設しました。
 
おふたりの仕事は分業となっていて、大野さんは木型の製作や吊り込み、底付けなどを、島村さんは裁断や製甲(アッパーの縫い合わせなど)を主に担当。詳細は後述しますが、メッシュシューズの場合、編み上げなどは島村さんが行い、大野さんがそれを吊り込み、底付けなどを施しているそうです。
 
ところで、この工房の特徴のひとつに、メンズのみならずレディスも手がけていることが上げられます。工房を訪ねると、そこに個性的なドレスシューズや、美しいブーツなどのレディスシューズがディスプレイされているのを目の当たりにでき、“守備範囲の広さ”が実感できます。これはご夫婦やパートナーとオーダーを楽しむというライフスタイルの提案でもあるのです。

 

タイ シューメーカー 大野

タイ シューメーカー 島村写真上が大野さん。写真下が製甲を担う島村さん。

 

トリッシャム
トリッシャムで採った足裏の石膏型。得られたデータはインソール製作に役立つ。
 
トリッシャム
カラー&仕上げのテストが施されたレザースワッチ。パティーヌ仕上げも可能。

 
 

依頼する時点で大きな満足感が得られる、
顧客本位の姿勢を貫く

 
タイ シューメーカーのビスポークは、常時工房にてオーダーが可能ですが、来訪前にあらかじめ電話かメールで日時を予約が必要です。ハウススタイルはあえてもたない主義で、あくまで「その人の気持ちに寄り添う」という哲学のもと、発注者のイメージから大野さんがその場でデッサンし、デザインを決めていきます。「それではデザインが絞れず、戸惑ってしまう」という人は、あらかじめ用意されたサンプルや画像などが良き参考となるでしょう。
 
また、その場で採寸も行い「トリッシャム」と呼ばれるドイツ製フットインプレッションフォームでフットプリントも採り、歩き癖なども確認します。革は仏アノネイや伊ゾンタのトップグレードカーフなどを用意。日本では展開されていないカラーなども選ぶことができます。
 
オーダーから約4カ月後、トライアルシューズを使った仮縫いが行われるのですが、実は素材&カラーはこの際に決めることが可能。吊り込みは革が木型にしっかり馴染むよう1カ月以上を費やし、ロングブーツでは普通、個別には製作されない筒部分の木型も製作するという徹底ぶりです。ちなみに、本縫いの完成はオーダー後8か月~1年とのことです。

 

靴作りがとことん好きで研究熱心。技術向上のための努力を惜しまない大野さんと島村さんだけに、その技術は日本屈指。しかもその技術の幅が広く、持てる技術の全てで顧客の要望に応え、期待を裏切ることのない工房がタイ シューメーカーです。先で少々触れたイントレチャート、すなわちメッシュの靴に関してはメッシュを編める業者がないため、外注に頼らず、自分たちでその技術を編み出したというのです。そうした編み上げ作業を含む製甲には、なんと通常の5倍以上の時間を要するそうで、しかも靴にした際の強度を落さぬよう、ウェルトやソールとの縫合部分をあえてメッシュにしないという点がミソ。他のビスポークメーカーでは不可能な、このイントレチャートの秘術がもたらす芸術的な仕上がりは、ここで写真に紹介しているキッド(仔山羊革)スエードのチャッカブーツでご確認ください。このスタイルはまさに未来のトレンドを先取りしています。

 

イントレチャートチャッカ
仔山羊5匹分の革が使われたイントレチャートチャッカ。

 

タイ シューメーカー
ビスポークは「お客様の想いをかなえるもの」(大野さん)の言のとおり、まず注文者の意志を尊重する姿勢を貫く彼らは、そうした期待と要望に応えるべく、誠実さをもって最大限の努力を惜しみません。様々な意匠を靴に込めたいという顧客の思いを叶えることが大野さん、島村さんの喜びでもあるのです。ですから、オーダーする側からすれば、求めていることを適確に感じとってくれることに安心感がもてて、信頼して靴作りをお任せできるのです。おふたりの温かい人柄も相まって、オーダーする時点ですでに大きな満足感が得られ、何度も工房を訪れ、繰り返しオーダーしたくなるビスポークシューズの工房。それがタイ シューメーカーなのです。

 

タイ シューメーカー

コバ&ソールの厚みはシングルソールの場合、基本的に7~9mm。その靴全体のデザインやフォルム、主なコディネートや履くシーンなどを勘案し、視覚効果と実用性の両立を図るベストの厚みを選択しているという。

 

タイ シューメーカー

穴飾りは吊り込みにより、革が伸びて楕円に変形しがちだが、「タイ シューメーカー」ではそれをあらかじめ計算に入れたうえで小穴をうがつため、美しい真円が保たれている。大野さんと島村さんの絶妙な共同作業の結晶。

 

◯基本価格
・メンズビスポークシューズ 300,000円
・メンズビスポークアンクルブーツ 350,000円
・3ピースシューツリー 28,000円

◯オプション(製法・仕立)
・イントレチャート仕立て +20,000円~
・ノルウィージャン製法 +25,000円

※上記価格は全て税抜き表記です。
※デザインや靴底の仕様による価格の変更はございません。
※2足目以降、木型の大きな変更のない場合、基本価格より50,000円の値引きとなります(仮縫いあり)。
※エキゾチックレザーや貴金属の使用をご希望の際は、その都度相談させていただきます。

 

タイ シューメーカー(TYE Shoemaker)
〒111-0024 東京都台東区今戸2-30-12 クリスタルビル2F
TEL.03-3873-1135 tyeshoemaker.com
営業時間12:00~20:00 定休日:月曜

※この情報は2015年7月のものです。最新の情報についてはお問合せ先にご確認ください。