常識を見事に覆してくれた画期的なレザーオイル
特にインポート品を中心に革靴の価格高騰が著しい。それもあってか、ユーズド・ヴィンテージ品の高級靴を購入して履くというスタイルが、近年すっかり定着した。ただし、実店舗での購入ならまだしもネット、しかもオークションでの購入となるとサイズだけでなくアッパーのコンディションも到着してみないと正確には判らない。読者の皆さんも一度はそんな「しまった!」を経験した事があるのでは?
そんな時大いに役立ってくれるのが、このクリストフ ポーニーの「シュートニック」。一言で申せばレザーケア用のオイルなのだが、いかにも「油」的な色味とは対照的に使い心地が案外サラサラで、革への浸透性が抜群なのが魅力の一品だ。私(飯野)が猛烈にたまげたのは、四半世紀以上使い込んで表面がササクレ寸前になったペッカリーの手袋をこれでお手入れした時。革の潤いと柔軟性のリカバー度合いが半端なく、しかも油ジミも殆ど起こらなかったのだ。
靴の汚れを落とした後でこれを塗布し、数日経ってから通常の乳化性靴クリームでお手入れすると、新品とはまた一味異なるユーズドならではの「どっしりとした貫禄」「奥深い光沢」が味わえること確実だ。柑橘系の自然な香りも作業効率を高めてくれる陰の立役者。浸透力が抜群過ぎるので、革に塗る時は布やブラシではなく刷毛で革全体にムラなくサーっと広げて行くのが、無駄なく使うためのコツですぞ!
文:飯野 高広