Manufacturers|個性きらめくラインナップでデビュー!製靴の現場から生まれたジャパンメイドの職人発信ブランド
世界長ユニオンは1919年に創業した世界長と、1952年創業のユニオン・ロイヤルの合併によって2010年に設立された、日本におけるシューズメーカーの代表的存在です。ユニオン・ロイヤル時代から展開されてきたマレリーや、トレーディングポストとのコラボによるジャパンメイドのソフィス・アンド・ソリッドなど多彩なオリジナルブランドを擁していますが、とりわけハンドソーンウェルテッド製法で展開されるユニオンインペリアルは靴通たちからの熱心な支持を得ています。
ここにご紹介するブランド、マニュファクチャーズは、その世界長ユニオンが2020年秋に立ち上げた新ブランドです。ユニオン・ロイヤル時代の1960年に伊・マレリー社と技術提携したことでマッケイ製法の技術を磨き、’70年代にはイタリアの国際製靴技術コンクールで最高賞を受賞するなどの実績を誇ってきた熟練職人らが引退を迎えるにおよび、現役の職人たち(平均年齢40歳前後の約10名)が技術継承を重要な課題ととらえ、自発的に始めたのが、このブランドなのだそうです。技術開発課の長谷川信一さんによれば、
「いわば職人発信のブランドです。彼らが商品開発に大きく関与し、みずからの技術で生産するというもので、この姿勢の表れとして、各モデルにかかわった技術者の名前を品番にしています」
とのこと。また、「手仕事と機械作業のマッチング」をコンセプトとしつつ、現在、展開しているパターンオーダーにおいては、往々にして外注に頼りがちとなる製甲作業や底加工も含め、全てを鎌ヶ谷市にある同社の千葉工場が生産を手がけているのも大きな特徴です。 ※今後、新たに導入予定のレディメイドでは工程の一部が外部の製作になる予定。
「ドレスシューズという枠組みにはとらわれず、多様なカテゴリーで展開していこうと思っています。現状ではグッドイヤーウェルト製法によるパターンオーダーの展開となっていますが、販売方法も含めて統一せず、柔軟なブランドを目指しています」
アルプス山地の牧童らが履く民族靴に端を発するチロリアンシューズをドレッシーにアレンジした、このユニークなモデルは、靴職人の村田さんが所有していたチロリアンシューズをもとに「登山靴的なものとドレスの融合を狙い」(前出・長谷川さん)企画・デザインしたもの。チロリアンシューズの象徴ともいえるモカの手縫いはピッチが整って美しく、テンションも強く、しかも味わいがあります。また、放射状に施された彫りがユニークな真鍮鳩目は珍しいもので、これもまた、ささやかなアイコンとなっています。ちなみにライニングは、このモデルに限らず、全モデルに仏・デュプイ社の革(全5色から選択可)が使用されます。
オーダーに際しては、以上の基本的なディテールをもとに、サイズ、木型(甲高の場合、アップチャージの調整あり)、アッパーの革・カラー、底材と、その仕上げなどを選び、さらにアップチャージにより、穴飾り、レザーソールの半カラス仕上げ、ヴィンテージスチールなどのトウスチール、アウトソールのハーフラバー加工、シューツリー(ブナ材使用。税込みi1万6500円)などが追加オーダーできるシステムになっています。
このように新参ブランドとはいえ、長きにわたって千葉工場にて培ってきた技術力を駆使し、職人たちが強い意思と前向きな姿勢をもって生産するリアル・ジャパン・メイドのマニュファクチャーズ。知名度はまだまだこれからですが、潜在能力は十分以上で、その将来性には大いに期待できるものがあります。そして、この点も含め、今、先取りでオーダーすることが、そのまま彼ら職人たちへの支援にもなると思うのです。
Manufacturers(マニュファクチャーズ)
お問合せ:世界長ユニオン千葉工場 TEL.047-446-9961
secaicho-union.jp www.union-royal.com
ここにご紹介するブランド、マニュファクチャーズは、その世界長ユニオンが2020年秋に立ち上げた新ブランドです。ユニオン・ロイヤル時代の1960年に伊・マレリー社と技術提携したことでマッケイ製法の技術を磨き、’70年代にはイタリアの国際製靴技術コンクールで最高賞を受賞するなどの実績を誇ってきた熟練職人らが引退を迎えるにおよび、現役の職人たち(平均年齢40歳前後の約10名)が技術継承を重要な課題ととらえ、自発的に始めたのが、このブランドなのだそうです。技術開発課の長谷川信一さんによれば、
「いわば職人発信のブランドです。彼らが商品開発に大きく関与し、みずからの技術で生産するというもので、この姿勢の表れとして、各モデルにかかわった技術者の名前を品番にしています」
とのこと。また、「手仕事と機械作業のマッチング」をコンセプトとしつつ、現在、展開しているパターンオーダーにおいては、往々にして外注に頼りがちとなる製甲作業や底加工も含め、全てを鎌ヶ谷市にある同社の千葉工場が生産を手がけているのも大きな特徴です。 ※今後、新たに導入予定のレディメイドでは工程の一部が外部の製作になる予定。
「ドレスシューズという枠組みにはとらわれず、多様なカテゴリーで展開していこうと思っています。現状ではグッドイヤーウェルト製法によるパターンオーダーの展開となっていますが、販売方法も含めて統一せず、柔軟なブランドを目指しています」
代表作ドレスチロリアンはビジカジの足元に“ちょうどいい”
現在、マニュファクチャーズはパターンオーダーにより受注生産される計8モデルがラインナップされていますが、ここではブランドのアイコニックなモデルであり、きれいめカジュアルからいまどきのビジネススタイルまで、さまざまなスタイルにマッチするドレスチロリアン「H.murata」のオーダーサンプル(トップ写真)を例にとりつつ、この新進ブランドについて深掘りしてみます。アルプス山地の牧童らが履く民族靴に端を発するチロリアンシューズをドレッシーにアレンジした、このユニークなモデルは、靴職人の村田さんが所有していたチロリアンシューズをもとに「登山靴的なものとドレスの融合を狙い」(前出・長谷川さん)企画・デザインしたもの。チロリアンシューズの象徴ともいえるモカの手縫いはピッチが整って美しく、テンションも強く、しかも味わいがあります。また、放射状に施された彫りがユニークな真鍮鳩目は珍しいもので、これもまた、ささやかなアイコンとなっています。ちなみにライニングは、このモデルに限らず、全モデルに仏・デュプイ社の革(全5色から選択可)が使用されます。
オーダーに際しては、以上の基本的なディテールをもとに、サイズ、木型(甲高の場合、アップチャージの調整あり)、アッパーの革・カラー、底材と、その仕上げなどを選び、さらにアップチャージにより、穴飾り、レザーソールの半カラス仕上げ、ヴィンテージスチールなどのトウスチール、アウトソールのハーフラバー加工、シューツリー(ブナ材使用。税込みi1万6500円)などが追加オーダーできるシステムになっています。
超レアな伊・クロエ社製エンボスコードバンも選べる!
ところで、このドレスチロリアンのサンプルに使われているアッパーの素材は何かといいますと、これはフランスの名門アノネイ社の名革であるエンボスカーフの「アルパイン」。カラーはタンとなります。マニュファクチャーズのパターンオーダーでは、取り寄せなどで多彩なアッパー素材の選択が可能で、代表的なものでは、この「アルパイン」のほか、同じアノネイ社製エンボスレザーでは「アルカザール」や「ラスティグレイン」もあり、スムースカーフでは伊・イルチアの「ベティス」、スエードなら英・C.Fステッドの「ジャヌス(ヤヌス)」などがストックされています。また、珍しいところでは蝦夷鹿の革も選べるとのことです。
このように新参ブランドとはいえ、長きにわたって千葉工場にて培ってきた技術力を駆使し、職人たちが強い意思と前向きな姿勢をもって生産するリアル・ジャパン・メイドのマニュファクチャーズ。知名度はまだまだこれからですが、潜在能力は十分以上で、その将来性には大いに期待できるものがあります。そして、この点も含め、今、先取りでオーダーすることが、そのまま彼ら職人たちへの支援にもなると思うのです。
お問合せ:世界長ユニオン千葉工場 TEL.047-446-9961
secaicho-union.jp www.union-royal.com
文:山田 純貴