1930年代初めにイタリアのフィレンツェで小さな靴工房を構えていたアンジョロ・マネッティ氏が、1937年に同地で工場を設立したのがデュカルの始まりだ。当初からデュカルの靴は高品質な革を選び、丁寧に手掛けられた高級品であった。イタリア中のお洒落な紳士たちに愛されていたという。1950年代から1960年代にかけては、メッシュやコンビネーションシューズ、ホワイトバックスなど海外に向けて展開し好評を得ていた。

さて、今回紹介する白のスニーカーは「ホワイトバックスの現代版」といったイメージで製作されている。ちなみにホワイトバックスはもともと鹿革の銀面を起毛させたものだが、現在はカーフを起毛させた白い紐靴を総称して呼んでいる。発祥はイギリスのオックスフォード大学の学生がスポーツ観戦時に履いた白い短靴だと言われていて、アメリカでは1950年代から1960年代にかけて流行している。
ホワイトバックスを履いた著名人で印象に残っているのは、アイビーリーガーでもあった俳優のアンソニー・パーキンスだろう。プライベートでも何足か履いていたようだ。あとは若い頃の歌手のパット・ブーンといったところ。いずれにしてもホワイトバックスは学生や若い世代、青春の匂いがする靴なのだ。
このデュカルのスニーカーに話を戻すと、アッパーは白のスエード素材でスニーカーの顔つき。よく見ると履き口から紐付近の縁取りには白色のスムースレザーを使っているのだ。ソールはアンツーカーレッドのラバーソールを採用しているところもホワイトバックス風だ。しかもマッケイ製法で作られているためオールソール交換も可能なのだ。ハト目は表ハト目の6穴。トウは丸過ぎないエッグトウ。よく考えられた一足だと思う。
オリジナルのホワイトバックスだとどうしてもクラシックな装いになりがちだが、こちらのスニーカーはコーディネイトが楽なうえ、防汚処理を施しているので汚れにくく、ホワイトバックス特有の清潔感もあわせもっている。リジッドデニムやチノパンとも相性が良さそうだ。
DUCAL(デュカル)
レザースニーカー DUW7006H 60,500円(税込)
お問合せ:ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店 TEL.03-3423-2021 wfg-net.com

文:倉野 路凡